千葉県(落花生県)

千葉県は上総、安房、下総の大部分からなっていますが、奇妙なことに現在の交通路でいえば東京都により近い県北部が下総で、南側の県中部が上総ということになっていてなんとなく不自然な形態となっています。これは、いまの地形が昔のそれとまったく違うものだからです。

 

利根川は今でこそ鬼怒川と合流して千葉県と茨城県の県境を流れ銚子の北方で太平洋に流れこんでいますが、江戸時代の中ごろまでは江戸の町のすぐ東が河口になっていました。現在の江戸川が当時の利根川の名残で、江戸を洪水の被害から守るためにこうしたのです。

 

さらに、それ以前には、この古利根川の川筋は湿地帯になっていて、渡るのもなかなか難儀でした。そこで、房総半島に行くには、むしろ、浦賀水道あたりで海の上を船で渡るほうが楽だったそうです。

 

『日本書紀』に日本武尊がこの海峡を渡る際に嵐にあい、弟橘媛が犠牲として身を投げることによって風が収まったとあるのは古代における交通路がどんなものだったかを知る良い手がかりとなります。このルートに長大な東京湾横断道路「アクアライン」が1997年にオープンして古代の道がよみがえったのです。

 

千葉県の領域は久留里、大多喜、佐倉、館山といった小藩や天領に細分化され、大きな城下町は存在していませんでした。明治初年にはいったん北部の印旛県と南部の木更津県が成立しましたが、印旛県の県庁は佐倉など各地を転々とし、両県が統合されるときに中間の宿場町である千葉に県庁が置かれることになりました。

 

房総半島の長い海岸のうち、太平洋側の外房は有名な九十九里浜という長い砂浜が続いて、海水浴やウインドサーフィンに利用され、東京湾側の内房では木更津の潮干狩りが東京の人たちを引きつけています。富津市のマザーパークの菜の花は関東地方に春の訪れを告げることでも知られています。

 

佐倉市の国立歴史民俗博物館は日本の歴史を昔の生活や町並みを精巧な模型でビジュアルに再現したものが人気で、歴史好きにはたまらないものですし、最近では外国人にも日本文化を理解するために第一に訪ねるべき場所として知られるようになりました。

 

県東北端の犬吠埼近くに位置する銚子は、イワシ漁を中心とする漁港として、また、醤油づくりの町として知られ、NHKの朝の連続テレビ小説で沢口靖子さんが主演した「澪つくし」の舞台でもあります。筋書きは、和歌山を本拠として醤油づくりの季節だけ銚子にやってきて両方に家庭をもつ蔵元が、時代の変化に応じて本妻も銚子に連れてくることから起きる出来事をテーマにしたものでした。

 

この銚子に限らず、房総半島にはよく似た気候を求めてやってきた和歌山からの移住者が多く、勝浦など紀伊の国起源の地名が多く残っています。日本の醤油の発祥の地は和歌山県中部の湯浅と言われていますが、いまや千葉県が日本一の醤油の産地となっています。

 

南端の安房国は四国の阿波からの移住者が多かったので、このような名前になりました。ここは『南総里見八犬伝』の舞台であり、日蓮上人の生誕地でもあり、温和な気候と豊富な海の幸を求めて首都圏の行楽地として今なお高い人気を誇っています。

 

千葉県人の県民性は海洋国らしく陽気で豪快な人が多く、それを象徴するのが、元プロ野球の長嶋茂雄氏と政治家の浜田幸一氏ではないでしょうか。千葉県民は政治好きで政争や選挙戦が激しいことはよく知られるとおりです。

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